四方山話
 

  アメリカ発サブプライムの問題に起因する金融信用収縮が世界同時不況を招いている。経済は“生きもの”「将来への不安」が企業の投資、個人の消費を押さえ、経済収縮をさらに加速させ人々を奈落の底へ追いやる。ところが、時に一方で実体のないバブル経済を引き起こし、人々はその好景気に踊ることもある。幸か不幸かその事象は、みな人の成す所業だ。人類はこの様な歴史を懲りもせず繰り返しいるのだから、その時々に直面する経済の流れの幸、不運を静かに受け入れるしかない様な気がする。

  「将来への不安」と言えば、私が陶芸の世界へ入る時、身内縁者、私の周囲はこの言葉を大合唱!思い留まる様に親身に助言頂いた事を思い起こす。30歳を目前に陶芸に関する知識も技術も皆無、何の下地もない私に、この様な忠告は至極当然のことであった。にもかかわらず、この世界に迷うことなく飛び込めたのは、この「将来の不安」に対する意識が皆無であった事が大きい。小学生の時父を亡くした私は、母・兄弟・親戚に支えられながらも、無遠慮にかじる脛も無く早くから自立を余儀なくされた。大学進学も奨学金とアルバイトで経済的自立を果たし、殆ど独力で卒業した。この様な青春時代を過してきた事で「独り生きて行くくらいどうにでもなる!」と言う意識が育ち、その種の不安を感じることはなかった。

  50歳を過ぎた今、不安に思うことが全くないわけではない。ただそんな雑念を抱えながら作陶をしていると、発想も貧しくなり、仕事をしていて楽しくない!私の仕事は生活不必需品、在っても無くても良いもの。ただ私の作ったやきものが傍にある事で何だか豊かな気持ちになれる、渇いた心に潤いを注いでくれる、そんな役割を担えれば自分の仕事も存在意味を持つ様な気がする。不安が蔓延する今日、そんな気持ちをふと忘れさせることの出来るような作品を生み出してみたい。そんな心境にさせられる今日この頃だ。                 


                                                    (03/06/2009)


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