四方山話
 

  久々このコーナーに掲載できる志野の作品3点が先日の窯から生まれた。実に3点掲載できたのは2006年以来6年ぶりだ! ここ数年納得のいく志野作品に恵まれない状況が続き、窯場の裏には、粉砕された志野作品の残骸で埋め尽くされている。

  先日かつて高島屋美術部で仕事をされていた方が「荒川豊蔵さんは生涯通して、個展は10回もしていない・・」 そんな話をして下さった。あれ程の大家でさえ、志野作品が数とれなかった!と言う事を物語っている。 詰まる所、魅力的な志野はそう簡単に出来るものではないということだろう。この様な事実を知らされると少し気持ちが楽になる。

  新作「志野蓋物」は刳り貫き技法で成型し、粗い土の面とプレーンな面の対比で構成し、粗い面には志野釉を薄く、プレーンな面には厚く施釉した。 狙い通り、薄く施釉された部分は美しい緋色の発色を得て、厚掛けされた部分とのコントラストが巧く表現できた。 茶碗は施釉直後に、釉を指で引っかく様に円相を描いて、正面の表情を加えてみた。 写真では見えないが、茶碗内側見込みにも赤い緋色が現れ、なかなか表情豊かで見所の多いい茶碗に仕上がった。

  四半世紀以上志野に取り組んでいるが、未だに確固たる焼成方法が見出せない。本当に難しい。
「桃・栗3年、柿8年、技は10年、芸は一生、やきものは一生半」師が呟いていたこの言葉が、重くのしかかってくる。                


                                                     (04/28/2012)


Copyright (C) 2003 Soshintougi. All Rights Reserved.